当社アニメ用筆について、色々なタイプがある中で何を選んだら良いのか?
人それぞれアプローチの仕方が違うため一概には言えず参考になるか分かりませんがアニメ背景画の描き方を4つのスタイル(流派)に勝手に分類してみました!
曖昧な書き方をしているところが多々あります。
執筆者のうすーいアニメ背景業界知識を元に書いておりますので、そこはお察しください。
アニメ背景画の細部、仕上げなどに使う筆の選択について、ご参考いただければ幸いです。
なお、各スタイルに該当するかもしれない著名な美術監督様のお名前を記載させていただいておりますが、全く見当違いの可能性もございます。
あくまで参考図書に基づく当社判断でのご参考ということで、ご理解いただければ幸いです。
ただし、完全な間違いがあれば訂正いたします。

削用筆は地塗りから仕上げまで使用し、細部は削用筆で描けるところは削用で、そうでないところは霞と使い分けるスタイル。
もちろん、霞でも地塗りや仕上げ、特に細い線をきっちり出すときは霞のほうをメインに使用する感じですかね!
このスタイルに該当すると思われる著名人:男鹿和雄先生
言わずと知れたスタジオジブリ背景美術監督の最高峰のお一人ですね!
そして、削用&かすみ派のために作られた筆が、「特選 アニメ用筆(削用)」「特選 アニメ用筆 霞」です。
この筆は、男鹿和雄先生が中心となって開発した筆なんですね!
男鹿和雄さんの画集「男鹿和雄画集II」42ページに、「背景美術で使われる筆は大きく分けて、削用筆、かすみ筆、平筆の3種がある」と記載されておられます。
この筆がどのような筆なのかについては、こちらの記事をご覧ください。
参考図書:男鹿和雄画集II
地塗りから仕上げ、細部まで削用筆や霞を使った写真で分かりやすく記載されておられる他、筆の特製を知ることの重要性、構図の考え方、筆のリズム感などを教えていただける素晴らしい本です!
特に、筆をめぐる15年におよぶ試行錯誤というコラムでは、当社「特選 アニメ用筆」の開発の経緯の他、求められる性能など2ページに渡って書かれておられ、何度も読み返しました。
男鹿和雄先生と田中直哉先生の対談が所々に挟まれており、男鹿先生の別の一面が見え隠れするところも見どころですね!
ジブリファンにはたまらない本
ただ、このかすみ筆の存在…今アニメ背景画の世界では忘れられようとしているかもしれません。
かすみ 大事
このスタイルにおすすめの筆:「特選 アニメ用筆(削用)」&「特選 アニメ用筆 霞」
特選 アニメ用筆(削用)
https://shop.sgd-fude.net/items/42601566
特選 アニメ用筆 霞
https://shop.sgd-fude.net/items/42601567
削用と霞のセットもあるよ!(ちょっと安い)
https://shop.sgd-fude.net/items/42813031
問題は高いことか…
■削用派
削用派は、現在のアニメ背景画の業界で主流?!
地塗りから仕上げ、細部、線描きなどのほとんどを削用筆で描くスタイルですね!
このスタイルの場合、穂先が鋭いタイプの削用筆をご選択いただくのが良いと思われます。
名村大成堂様、ニッカー様、白鳳堂様の削用筆が多く使われておられるのではないでしょうか。
このスタイルに該当すると思われる著名人:武重洋二先生
スタジオジブリ美術監督であり、ニッカー様の動画でもご活躍されておられ、今のアニメ背景業界で一番ご有名な方じゃない?!
私も動画でいつも勉強させていただいております!(面識はございません)
参考動画:ジブリ美術監督 『武重洋二のJoy of Painting』vol.3 ~神々しい森~
https://www.youtube.com/watch?v=4RLK-4R0B20
当ページにて記載させていただいた3名様(男鹿和雄先生・山本二三先生・武重洋二先生)の話を交えた武重先生の背景動画が個人的に好きです!
この動画内でも、細部はやはり削用筆をメインにお使いになられているように見えますね!
名村様やニッカー様の削用筆が、穂先が鋭く動きが良いため武重先生の主力筆ではないかと想像しております。
もし仮に当社の筆をお使いいただくなら「特製 アニメ用筆 円」(穂先が鋭いタイプ)でしょうか。
私自身はお会いしたことはないので、いつかお話させていただきたいですね!
個人的にもう一つ注目点は、武重先生がマッチョなところです!
実は、当社の「特製 削用」(日本画のやつ)も、幾つかのスタジオさんで使われているんですよ。(ほとんど居ないけど!)
アニメ用筆でお勧めするなら、穂先が細く絞ってある「特選 アニメ用筆 円」ですね!
ただ、穂先の毛量が少ないため、穂先を平たく潰したときに穂先がギザギザになってしまったり、幅が広がらないので、窓とかを描く時に筆を立てたまま窓が描きにくいかも。
筆を寝かせて窓を描く方法であれば問題ないです。
ただ、「アニメ用筆 今日も窓」も検討してみてください。幅広の線が引きやすいです!
このスタイルにおすすめの筆:「特選 アニメ用筆 円」& 「アニメ用筆 今日も窓」
「特選 アニメ用筆 円」
https://shop.sgd-fude.net/items/64550473
「アニメ用筆 今日も窓」
https://shop.sgd-fude.net/items/95855015
「特製 削用」「削用筆 梢」シリーズも使えると思います!
https://shop.sgd-fude.net/categories/3351562
■平筆派
平筆でここまで描けるのか!というほど平筆で仕上げや細部まで描き込むスタイルですね!
もちろん削用筆も使われるのですが、主軸は平筆。
このスタイルに該当すると思われる著名人:山本二三先生
言わずと知れたスタジオジブリ背景美術監督レジェンドのお一人ですね!
私自身は面識が無いものの、山本先生の「風景を描く」などを読み勉強させていただきました。
全く勝手な感想ですが、平筆使いの極致に到達されておられます!
細部までどこまでも平筆を使いこなして描かれておられ、削用筆よりも平筆を主力にしておられる印象です。
削用筆は日本画的な使い方をされておられるので、もし当社の筆をお使いいただくなら、癖を抑えた「アニメ用筆 削用 梢」でしょうか。
当社西田(故人・前社長・アニメ筆開発者)が「特選アニメ用筆(削用)」完成後、ラブコールをするも恋敗れました。
あの時、平筆を送っておけば!
参考図書:山本二三 風景を描く
山本先生の平筆の使い方の他、塗る色の順番、「飲むヨーグルト」、型紙を作った雲の描き方、刷毛を使った質感の出し方など、非常に見どころが多く素敵な本です!こんなに平筆を使っているシーンが多い背景画集は無いんじゃない?!ってぐらいすごいです!
飲むヨーグルト大事
このスタイルにおすすめの筆:「アニメ用平筆 梢」& 「アニメ用筆 削用 梢」
ちょっと難しい選択です。日本画用の「特製 削用」か「削用筆 梢」とかでも良さそうです。
山本先生は平筆の5号と1号を主に使用されておられるようですが、当社1号のアニメ用平筆作ってないんですよね…
そのうち作ります!
「アニメ用平筆 梢」
https://shop.sgd-fude.net/categories/6385390
「アニメ用筆 削用 梢」
https://shop.sgd-fude.net/items/95855516
というわけで、ご著名な美術監督3名様の背景画技法を参考に3つのスタイルに分け、お勧めの筆をご紹介いたしました。
皆さんジブリの美術監督さんでありながら、実際には全くアプローチの仕方が違う印象です。
やはりご自身の画風にあった筆の選択というのが重要であると感じます。
当社は、今までエンドユーザ様とお会いする機会がほとんどなく中々現場の声というのを聴きとることができませんでした。
今後は積極的に皆様からご要望や筆の使い方を教えていただけるようになりたいですね!
ということで、最後に私の数少ない面識のある美術監督さんをいつものごとく勝手にご登場させていただきます。
■特殊派
「特選 アニメ用筆 削用」のみで細部まで描き込んでいくスタイル。
このスタイルに該当すると思われる著名人:金子雄司先生
当社Xで何度も何度も(勝手に)登場していただいてる美術監督さんですね!(そろそろ怒られそうな気がします)
金子先生が代表を務められているスタジオ青写真さんでは、「特選 アニメ用筆(削用)」と「特選 アニメ用筆 霞」その他もろもろをお使いいただいております。
ただ、金子さんご自身は「特選 アニメ用筆(削用)」1本だけで、地塗りから細部の書き込みまで描き込まれてる印象です。
かすみに持ち替えるところ見たことが無いんです。
そして、穂先の作り方がとにかく早い。
変幻自在に穂先の形が変わっていくので何が起きているのかどうやってるのか分からない。
ポスターカラーの濃度と含ませ方で、どのように穂先が変わるのか、穂先の作り方を熟知しているからこそできる技なのではないかと思います。
特選アニメ用筆は一般的な削用筆と違い、穂先の太さがあるにもかかわらず、それを感じさせないほど細い線を描きだされております。
金子先生が描いているのを見ると、(あれ?かすみ要らないんじゃね?)と錯覚します。
もちろん他社様の削用筆などもお持ちで、ご担当するアニメのイメージに合わせた世界観を表現できるように、筆を使い分けされておられるのではなかろうかと思います。
参考図書:金子雄司アニメーション背景美術画集
この画集は、ご自身が手掛けられた美術監督作品の背景画写真が沢山載っていますが、様々なジャンルのアニメ背景をご担当されておられるので一冊で色々なジャンルの背景画が見られてお得!「王様ランキング」の背景画も沢山のっておりますが、このアニメの背景画では柔らかな世界観を出すために「特選 アニメ用筆(削用)」を多用していただいたとお聞きいたしました。
ジブリの世界観を表現するために男鹿先生が中心となって開発したこの筆は、丸みのある表現を得意とし、柔らかな世界観を表現するのに適しているのだと思います。
他にも、サカサマのパテマ、パトレイバーREBOOTやリトルウィッチアカデミアのビルや建物、中世ヨーロッパのような構造物、機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島のメカニカルなところなど、多種多様な背景画が沢山載っています!
しかも、全てではないですが、写真一点ごとに工夫した点や考え方などがかなり記載されていて、絵を描けない私でもなるほどと勉強になります。
中には、えっこれが2時間かからず描けるの?!というものや、時間の短縮方法など、細かいティップスがこれでもかと書かれててめっちゃお得!
ミニチュアを作って背景美術に落とし込むところなどもあるんですが、いやこれ実写で使えるレベルのセットじゃん!ってぐらいミニチュアがすごかったり面白いです。
■地塗りに使う平筆
当社は「特製 アニメ用平筆」と「アニメ用平筆 梢」の二種類の平筆をご用意しています。
どちらも地塗りなどに使用するためのものですが、耐久性、含み、表現力が高いのは「特製 アニメ用平筆」です。
主にアニメ背景スタジオさんなど、クオリティと速度を求められる現場用途として作っています。
「アニメ用平筆 梢」は、「特製」よりもやや穂先を薄く仕立ててあり、地塗り用途として十分に機能を持たせつつ細部の描き込みがし易いようになっています。特製よりもお求めやすい価格です。
詳細な違いについては別ページをご覧ください。
ご購入の場合は、
(当社オンラインショップ)アニメ用平筆一覧
https://shop.sgd-fude.net/categories/6385390
以上!
筆選びのご参考になれば幸いです。