ドーサとは(礬水)と書きます。
和紙そのままに直接文字や画を描いてもどんどん水分を吸い込んで滲んでしまいます。
ですので滲みどめとしてドーサを引く必要があります。
日本画の縁の下の力持ちみたいな感じ?
また、水墨画では滲みを活かした表現もたくさんありその場合はドーサ無しの場合もあるみたい。
日本画用の和紙とは種類も驚くほどたくさんあり、色んな人に聞いてみたり、文献を読んでも、結構ひとそれぞれなので、描き手さんの好みで決まります。
画材店ではもともとドーサ引きをしてある紙もたくさん売られているのでそちらを購入しても良いですね。
ドーサ引きは「ドーサ引き」とドーサ無は「生」と表示されています。
生の和紙に水をたらしてみます。すぐ滲んでしまいます。繊細な線は無理そう
和紙について
では、ざっくりと紙の種類について(個人調べですので至らぬ点はご容赦下さい)
楮紙
繊維が長くてかなり丈夫。絵画や修復にも使用される。本美濃和紙など。
雁皮紙
わりと繊維が短くて表面が平滑、水をよく含むので伸縮の激しい素材。
絵画にも使用されるが薄いと伸縮性によって初心者には使いづらい。
三椏紙
雁皮紙に似た性質を持つ紙、雁皮紙よりはお手頃
麻紙
繊維が太く長くて丈夫な紙。とても厚みのある物もつくれる。
絵具を厚塗りする絵画に用いられる。日本画に多く使用されている。
雲肌麻紙、高知麻紙、白麻紙など。
これら以外にもたくさん種類があり、厚みや、晒してあるもの未晒しの紙、素材感のあるもので表現したい場合など、描き手さんのお好み次第ですね。
ちなみに、ドーサ液も出来上がったものがボトルで売られています。
今回は市販のドーサ液と手作りおドーサ液を同じ和紙に塗って滲み具合を比べます。
市販のドーサを引く
まずは市販のドーサ液を使ってみます。いろんな所から販売されてますので調べてみて下さい。
(2~3倍に薄めるらしいので3倍にうすめました。)
バスタオルやフェルト、いらない毛布など敷いて紙の用意をしてから裏と表と2回ドーサを引きます。
これもいろんな人に聞いてみたのですが、3回引く人もいれば、
パネル貼りしたあと1回だけの人と色々でした。
自分にあったやり方を見つけていくらしい・・・
では、1回目(今回は裏→表)の順で2回引いてみます。
刷毛をうっかり寝かせてしまうと塗れてない場所が出来てしまってます。
乾いたら今度は方向を変えて2回目。しっかり刷毛を立ててドーサ液をおろしていきます。
時間が掛かるのは、乾かす時くらいでアッという間に終わりました。
便利なものが販売されてますね。上手に取り入れたら描き始めのハードルも下がるしうれしいです。
次は初めてのドーサ液を作るところから・・・
ドーサ液を手作りする
材料
膠 (今回は粒膠)10~12g
生明礬 4gくらい
水 600㏄
膠10gに対して600㏄の水を入れ湯煎で溶かします。
たぶん金属の鍋でないほうが良いのではと思い、ガラスのボウルで溶かします。
まず膠をふやかします。(今回は粒膠)
ガラス瓶に膠10gと100㏄の水を入れて1~2時間放置。
500㏄の水と溶けた膠液をあわせ湯煎します。
生明礬(生ミョウバン) 4gくらいを乳鉢で細かくしておきます。
膠水が冷めてから生明礬を入れます。
溶ければドーサ液は完成!
完成!ドーサ液の濃さや作り方も人それぞれで、いろいろ試しながらと皆さん言われます。
手作りドーサを引く
では、ドーサを裏から引いて行きます。
ゆっくりすぎたら、溜りができて、ムラになりました。
手ごたえはどちらも変わりないですね。
塗るのではなくて引くと言うぐらいですのでゴシゴシ擦りつけるのはNGらしい。ゆっくりと染み込ませて、でも水の溜まりが出来ないように(均等に、均等に・・・)
乾けば2回目へ
表面から2回目のドーサを引く。今度は方向を変え縦方向に
同じ要領で引いてゆきます。
やっと完成これで乾けば滲まないはず。
自作ドーサ液の効果はいかに!
では、乾いたので生和紙と市販ドーサと手作りドーサをくらべてみます。
ドーサ引きした和紙を比較する
見た目ではわからないですね。手触りは生とドーサ引きではパリッと感が違います。
では、水適を置いてみます。
市販のドーサです。5分後を見てみましょう。
少し染みてますね。でも生より断然はじいてます。
では手作りドーサへ
これも5分後
わー!染みてないですね。こうして見るとドーサのムラもわかりますね。
まだまだ練習が必要なよう。
市販のより手作りの方が弾いてます。濃度の違いでしょうね。
大きな盤面や、何枚もドーサを引くときは手作りしても良いですね。
またサッとすぐ小さいものを仕上げたいとかだと市販の方が便利ですね。
まだまだ分からない事ばかりなので、濃さとかいろいろ試してみたいです。
これでまだ、下準備の下準備。日本画って絵を描くだけじゃなくて、昔の人もこれしてたのかなと想像しながら黙々と作業してあっという間に時間が過ぎてしまいました。楽しいですね。
ここで少しドーサ刷毛、絵刷毛の話
刷毛はドーサ用として専用にします。滲み止めの液にたっぷりと浸けてつかうので、もう普通の絵具や水は弾いてしまうとの事
松月堂では、絵刷毛として5分(15㎜)~3寸(90㎜)まで常時取り扱っており
特注品で4寸(180㎜)~6寸(240㎜)や厚めなど取り扱っておりなるべくご要望にお応えできればとしております。
こんなにドーサ1つでも作り方、引き方と個人差があるのでしょうから、
描き手さんの表現のお手伝いが少しでも出来れば嬉しいですね。
まだまだ、日本画への道は遠いですね。
次回 <はじめての日本画> 和紙を自分でパネル貼りしてみる
お楽しみに!